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23区新築マンション、2017年の初回販売率過去最低に。

新築マンション業界で導入シェア9割のマーケティングシステム“サマリネットシリーズ”を提供する株式会社マーキュリーは、東京23区で総戸数100戸以上の新築分譲マンションを対象に、過去5年間の供給推移を四半期(3か月)ごとに集計しました。

■期分け販売からマンションの販売状況を読み解く。

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新築分譲マンションの販売戦略の一つとして、「期分け販売」というものがあります。これは、マンション全体の住戸を一度に販売せず、段階的に販売するというもので、マンションの総戸数が多ければ多い程「期分け」が多くなる傾向にあります。

また、「期分け」の数は、マンションの販売状況(市況)を読み解く一つの指標としても捉えられており、一般的には期分け数が増えるとその分販売期間が延びることから、販売は低調、逆に少ない期分け数で販売されていると好調だと言われています。

そこで今回は、期分け数に注目し市場を牽引する100戸以上の新築分譲マンションの販売戸数と期分け数の推移を集計しました。

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期分け数は2014年Q3を最小値として上昇傾向が続き、2017年Q1では過去5年間で最高の198期分けとなりました。一方で、販売戸数は2016年Q1以前は2,000戸~3,000戸が供給の中心であったのに対し、以降は2,000戸を超えたのは2回のみと低い水準となっており、期分け数の増加に対し販売戸数が減少していることが分かります。

前述の通り、期分け数が増えると販売は低調だと言われていますが、ここ数年高まっている中古マンションの需要や不動産価格の高騰による消費者の購買意欲の低下を踏まえ、売り手側が小分けして販売するという戦略を取っているとも考えられます。

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■初回販売率、最も落ち込んだのは2017年。

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上記のグラフは、初回販売率※の推移です。

2013年から2014年の2年間は、概ね過去5年間の平均を大きく上回る販売率で推移していることが分かります。過去5年間で最高の初回販売率となった2013年Q3は、翌年4月に消費増税を控えた駆け込み需要の影響もあり、総戸数1,000戸を超える大型タワーマンションや500戸規模のマンションが販売開始から好調だった為、市場を牽引したと考えられます。

その一方、2010年以降に急増した豊洲や有明といった湾岸エリアの大規模タワーマンションの供給が若干落ち着き始めた2015年Q2以降、平均を下回ることが続いていた初回販売率は、2017年Q3には過去5年間で最低の30.4%まで下落しました。

近年、新築マンションの反響が鈍化しており、その傾向は市場を牽引する大規模物件にも見ることが出来ます。しばらくはこの傾向が続くと見られ、顧客獲得に向けて物件間の販売競争は激化を続けると考えられます。

※初回期分けの販売戸数÷初回期分けのあった物件の総販売戸数

■データについて ※マンションサマリ調べ。

・2013年~2017年に販売された新築マンションデータ
・総戸数100戸以上 ・東京23区 ・投資用物件を除く

【大規模新築マンション 5年間供給推移】